視覚障害者はどうやってパソコンを操作しているのか


ここでは、我々視覚障害者が、どうやってパソコンを操作しているのか、ご紹介します。

画面を読み上げるスクリーンリーダー


視覚障害者がパソコンを使おうとすると、まず困ること。それは、「画面の文字が見えない」ということです。
そこで、画面の内容を読み上げる、スクリーンリーダーと呼ばれるソフトウェアを使用します。
スクリーンリーダーを使えば、画面の文字を見ることができない視覚障害者も、画面の内容を音声で確認できます。
また、画面の内容を点字で表示する、点字ディスプレイという装置を使ってパソコンを操作する方もいらっしゃいます。
点字ディスプレイを使う場合も、画面の文字を点字に変換する必要があります。
スクリーンリーダーは、画面の内容を音声化するだけでなく、その内容を点字に変換する機能も持っているのです。
ただし、音声、点字に関わらず、100パーセント正しい内容が出力されるわけではありません。
日本語を点字や音声に変換しようとすると、どうしても漢字の読みを誤ってしまうことがあります。
今のところ、前後の内容に応じて、適切な読み方で読み上げることができるスクリーンリーダーはありません。
ただし、各スクリーンリーダーで、読み上げの正確さは変わってきます。
どうしても正しく読み上げできない文字列は、ユーザが辞書登録機能を用いて、読み方を変更することができます。
この機能を使えば、読み上げ・点字表示の正確さが増し、より使いやすくなります。
もう一つ、スクリーンリーダーでどうしても読むことができない物、それは画像です。
画像は、いくらスクリーンリーダーが優秀でも、内容を読み取って音声や点字に変換することはできません。
たとえば、ウェブサイト上の画像は、その画像に付けられた代替テキストの内容を読み上げます。
ウェブサイトを制作される方は、「適当な代替テキストを付ける」ということを心がけてください。

スクリーンリーダーの種類


現在入手可能な物


PC-talker

日本で最も多くの視覚障害者が使用しているのが、株式会社高知システム開発のPC-talkerです。
盲学校などでパソコンの使い方を勉強されている(されていた)視覚障害者は、このソフトを使って学習された方が多いのでは無いかと思います。
特徴としては、このスクリーンリーダーでしか使えない、豊富なソフトウェアがあります。
たとえば、インターネットを読み上げるNetReader、メールソフトのMyMailなどです。
これらは、初心者でも簡単に操作でき、PC-talkerにのみ対応しています。
なお、PC-talkerは、Windowsのバージョンごとに、別のパッケージで販売されています。
Windows10用のPC-talker10、Windows8/8.1用のPC-talker8、Windows7用のPC-talker7などです。
これらは、それぞれのOS用に作られているため、パソコンを買い換えてOSが変わると、PC-talkerも買い直す必要があります。
高知システム開発のサイトへ
focustalk

skyfishが開発するスクリーンリーダーfocustalkは、PC-talkerとほぼ同じ価格で販売されています。このスクリーンリーダーは使ったことがありませんので、詳しくは公式サイトをごらんください。
JAWS

こちらは、世界で最もユーザ数が多いスクリーンリーダーです。上の2つに比べ、価格が明らかに高いです。
どちらかと言えばビジネス向けで、officeの読み上げ機能が優れています。
また、そのままでは音声化できないソフトも、スクリプトを書けば使える可能性があります。
なお、日本語版は有限会社エクストラが開発しています。
公式サイトはこちらです。
NVDA

ここまでのスクリーンリーダーは、とても価格が高く、買おうとするとすこし勇気がいると思います。最近、オープンソースで無料のスクリーンリーダー、NVDAが話題になっています。
最近のNVDAは、メインのスクリーンリーダーとしても十分使えると思います。
「NVDAは使い方によってはJAWSに匹敵するほど高機能だ」と言われている方もいらっしゃいます。
初めてのスクリーンリーダーとしては不向きですが、すでに何らかのスクリーンリーダーをご使用の方にとっても、乗り換え先として最適だと思います。

過去に存在していたスクリーンリーダー


VDMW

これは、今から何十年も前、ms-DOSの時代に視覚障害者の間で使われてきた「vdm」というソフトをWindows用に作り直した物です。とは言っても、中身はPC-talkerです。
現在はVDMWとしては販売されていませんが、PC-talkerに「VDMWモード」が追加され、2つのソフトが統合しました。
outspoken

オランダ製のスクリーンリーダーです。20年ほど前に販売されていたそうですが、詳しくは知りません。JAWSのように高機能だったということを聞いたことがあります。
95reader

これは、日本で初のスクリーンリーダーだそうです。95reader/98reader/2000reader/xpreaderとバージョンアップを経て、開発が終了してしまいました。その跡継ぎがfocustalkだと聞いたことがあります。

キーボード操作


ここまで、スクリーンリーダーのことを書きすぎてしまいましたが、音声が出ても、自分でマウスを操作するのは困難です。
そこで、すべての操作をキーボードで行います。
ですから、皆さんが普段使用するCtrl+CやCtrl+Vなどの操作はもちろん、スクリーンリーダーのガイドを頼りに、キーボードで操作をするわけです。
このサイトも、PC-talkerやNVDA、JAWSの音声を頼りに、キーボードのみを使って作成しています。
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